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提言 ビジネス(人事・組織)
更新日:2006年5月27日
『働きざかりのストレス』とどう付き合うか
  働きざかりは、ストレスがたまる。
 
  無理難題を言う上司、思うように動かない部下、気まぐれな顧客。時に無情な行政の横やりが入ったり、増税が天から降ってきたりする。過度なストレスは身体を破壊するから、なるべく早く放出しなければ身が持たないが、その放出先が問題である。
 
  もっぱら部下に当たり散らす人がいるが、これは管理職失脚への道である。
 
  趣味に没頭するのはいい方法であるが、強い刺激を求めて酒から女、あるいはギャンブルなどにのめり込み、多重債務者へと墜ちる人もいる。
 
  ポピュラーな日本式解消法は、職場の仲間と居酒屋で悪口を言いつのり、そのあげく酔っぱらって忘れてしまう方法である。日本式と書いたが、私が在米日本国大使館に勤務していたころ、アメリカの司法省や国務省の役人から仕事や職場の人間関係のグチをずいぶん聞かされたから、案外人類普遍の方法かも知れない。
 
  いずれにせよこの方法は、手っ取り早く有効な解消法であるが、職場に妙なグループができたり、密告されたりして、環境を悪くする危険を伴う。それに、職場仲間でグジグジ飲む風習は、すたれつつある。やはりストレスは、自分の才覚で解消するか、人の手を借りるなら配偶者限りで収められれば、それに越したことはない。
 
  私のおすすめは、価値観転換法である。
 
  まずストレスの原因除去に全力で取り組む。しかし、その問題が自分の力ではどうにも解決できないものだと判れば、忘れる。といっても、心配が募り、腹がおさまらなかったり、先行きが見えず不安で心が縮んだり、感情の方が忘れさせてくれない。
 
  そうなると、仕事とまったく関係のないことに取り組んでみる。趣味でもよい、ボランティアでもよい、自分の能力を生かす、創造的な活動がよい。「そうだ、自分にはこの生き方があるんだ、この世界でやっていければ、職場なんてしょせん定年までの仮の居場所じゃないか。そこでクヨクヨしていても、どうなるものではない。そんな小さなことで悩むなんて、バカバカしい。」
  そう感じることができれば、もう忘れたも同然である。仕事に自分のすべてを投入するのでなく、仕事をこなすこと以外に自分の生きる価値観を持っていることが、仕事のストレスから自分を救ってくれるのである。
 
  配偶者に助けてもらう方法は、配偶者次第である。ためたストレスをDV(家庭内暴力)で解消するなどは犯罪行為であって、もってのほかであるが、精神的に上手に相手のストレスを解消している夫や妻は、私の身近にもいる。グチをヨシヨシと聞くやさしい夫や肝っ玉母さん。万一仕事を辞めさせられても、家族で支え合っていくよと言葉や態度で励まし、受け入れる夫や妻など、やはり家族は頼もしい砦(とりで)である。ただし、家族お互いに仲がよい場合の話である。
 
  まとめて言えば、職場のストレスを消してくれるのは、生きがいを感じる大きな目標か、親しい人への深い愛情ということであろうか。
(NIKKEI NET Biz-Plus ビジネスコラム「働きざかりをどう過ごす?」−第1回(2006/05/18))
(URL http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/hotta.cfm
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