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提言 福祉・NPO・ボランティア
更新日:2012年3月15日
ケアマネは不要か
 いわゆる24時間巡回サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)になると、ケアマネジャーは要らなくなるというような憶測が、当初の頃は行われた。24時間利用者のニーズが把握され、柔軟に対応される仕組みになっているから、ケアプランは要らないという理由である。
 しかし、24時間巡回サービスの試行が進むにつれ、この憶測は誤りであることが判ってきた。
 利用者の尊厳ある暮らしを続けるために、医療や介護、生活支援サービスや精神的支援サービスをどのように組み合わせるのが最適か。そういう視点から、利用者の意向や生活をめぐる諸状況を把握し、最適のプランを立てることがケアマネジャーの役割である。ケアプランは、介護保険法一条に定める「尊厳の保持」に有用なものであらねばならず、部分的、機械的にケアのサービスを提供するに過ぎないものであってはならない。
 まず、利用者が24時間巡回サービスを受けるかどうかの判断では、ケアマネジャーが決定的役割を果たすことになる。24時間巡回サービスは、@それまで他の介護サービスを受けていた利用者が重度化してこのサービスに移る場合、A認知症を持つ軽度の利用者のように、はじめからこのサービスが適する場合、B退院してこのサービスを受ける場合の3つのタイプイプがあるが、どの場合も、24時間サービス事業者には、その適否が判断できない。
 また、このサービスを受けている間も、利用者の心身の状況は変化するし、家族等の状況も変化する。そのトータルな状況の変化を把握し、事業者と協議してケアの内容をより適切なものに変えていくのも重要な役割である。時には、自立度が向上して、このサービスが要らなくなることもあろう。その判断は、ケアマネジャーが総合的視点からリードして行うべきである。
 このように見てくると、24時間巡回サービスに関するケアマネジャーの役割こそ、法が求めるあるべき役割だといえよう。むしろ他のサービスにおいてもそういう役割を果たすべきであり、24時間巡回サービスにおけるケアマネジャーがモデルとなって、全体のレベル向上を牽引してほしいと願っている。
(時事通信社「厚生福祉」2012年3月9日掲載)
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