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更新日:2016年2月24日
女子学生の力

「あなたの住む地域の課題は何ですか?」

 去年の7月、静岡市が主催する人材養成塾で出された宿題に取り組んだのは、静岡県立大学4年、にっしーこと西美有紀さんと、同じく3年、あいちゃんこと渡邉あいりさん。 もともと子どもの問題に関心があった彼女たちは、塾で意気投合、まず静岡市の統計を調べ、児童虐待相談や養護相談の件数が増えていることを知る。

 「どうなってる?」と調べ、「行政の窓口は敷居が高くて相談できない人たちがいる」「それどころか、子どもたちは親にも言えずにいる」と気付いていく。

 「孤立している子どもたちを誰が救うのか」。この問いに出した彼女たちの答えは、「地域の力」。

 しかし、親も学校も行政も救えない子どもたちを地域が救えるのか?彼女らは、「地域の無関心をのりこえるには、普段からのコミュニティづくりが必要」と考える。

 では、市は何かしているか。調べると、放課後子ども教室があるし、学校応援団もある。「それなのに、なぜ子どもたちの孤立が解消されないのだろう?」

 実情を調べて、彼女たちは気付く。それらの活動の規模は大きいが、子どもたちが親密な関係を結べるような活動になっていない。

 そこで彼女たちは市内の二つの小学校に協力を求め、3年生以上の子どもたちにアンケートを実施、計817名が答えた。わかったのは、午後6時以降も留守番する子が85名、週1回以上ひとりで食事している子が53名いること。

 この大きな課題に突き当たった彼女たちは、地域のおとなたちに呼びかけ、ついに子ども食堂のプレオープンにこぎつける。小野田農園の小野田さんは野菜を寄付してくれ、何人ものおとなたちが手伝ってくれて、週1回のペースで食堂を開くと、子どもたちは食事後も宿題を教えたり、遊んだりで「楽しい!」。これからもっと寄付も人も集めて、今年中に子ども食堂を三つ開きたいとネットで協力を呼びかけている。

(京都新聞「暖流」2016.2.14掲載)
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