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提言 教育
更新日:2008年4月30日
遊びの場が足りない
  私が「助け合いやふれあい」を広める活動に入ってもう17年になる。その間、ボランティア活動や、近隣で助け合う活動はめざましく伸びたが、まだまだ人間関係が冷え切っている地域の方が多い。
  ご近所の方といい人間関係が築けない原因を一言でいえば、人と交わるのが煩わしいからである。人から私生活などのことをあれこれあげつらわれるのがうっとうしい(ウザイ、ウザッタイ)から、なるべく交わらない。交わらざるをえなくなっても、当たり障りのない話にとどめ、心を開かない。
  心配なのは、子どもたちの間にも、そのように心がける風潮が、かなり一般化してきていることである。ケイタイを使ってしきりに交流するようになっても、空気を読んで自分が傷つかないようメールをかわすだけで、ある一線から先にはお互いに立ち入らない。その先の自分を開くところから本当の人間関係が始まるのに、そこを開かないから、いくらメールをしてもコミュニケーションの力は育たない。
  これでは、ふれあい、助け合いのあたたかい関係は生まれない。孤立して傷つきやすく、ひ弱で自己中心的な大人になってしまう。
  もともと子どもは、好奇心旺盛で、体を動かし、したいことを心ゆくまでする性質を持っている。それが生きる力である。そして、仲間と群れ遊ぶことが大好きである。その中で、人をリードしたり、時に人のために我慢したりしながら、みんなが楽しく遊ぶすべを身に付けていく。自分が楽しくするには、仲間とうまく交わることが必要なことを、子ども心に学んでいくのである。
  それを知れば、人と交わるのが煩わしくなくなる。寂しいのが辛(つら)くて、人とのかかわりを求める。そして、助けてもらうことも喜びとなる。子どもたちが思い切り遊ぶ場が、決定的に足りない。
(京都新聞コラム「暖流」2008年4月20日掲載)
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