政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会

更新日:2011年6月22日

増税と社会保障

 災難は、2月3日にやってきた。
 内閣府の幹部である中村秀一さんと香取照幸さんが、私の法律事務所にやってきた。2人はかつて厚生労働省の幹部として、介護保険制度をつくる時も、5年目の見直しで「尊厳をめざす」「地域で最後まで暮らせるよう包括的なサービス体制をつくる」という大改正をやる時も、改革を推進した人物である。
 「内閣が、税と社会保障の一体改革をやるから、その中身を検討する有識者会議に入ってくれ」という。
 介護保険制度をよりよいものにするについて、こちらの意見をよく聞き、取り入れてくれた2人である。それに、介護、医療や年金などのあり方を決めようという会議である。逃げるわけにはいかない。
 テレビ朝日「報道ステーション」の責任者に「増税を議論する政府の会議に入るから、そちらにはもう出られない」と断りを入れて、その会議に参加した。
 まず私が主張したのは「国民に、増税しないとどうなるか、今のサービスを続けるならどれくらい増税しなければならないかを数字で示して、選択してもらう」ということである。採用されず。
 次に主張したのは「医療も介護も年金も国民にとってよりよい制度にするとともに、今より安くできるものにせよ」ということである。たとえば「年金の支給年齢を上げると言うなら、官民の努力で、その年までは働ける仕組みにせよ。国民は無理に退職させられるよりも、働ける方が幸せだから」ということである。結果において、採用されず。
 最後に主張したのは「消費税の増税は高齢化がこれだけ進むのだからやむを得ないが、多くの国民にとってとても辛いことだから、食料や公共交通費の軽減税率などを、所得の少ない人の立場で真剣に検討して、それでも上げないと将来みんなが大変なことになるというなら、その理由をていねいに説明せよ」ということである。採用されず。
 会議の結論は、消費税5%増税。庶民の声を反映させることができず、まことに申し訳ない。

(京都新聞「暖流」2011年6月12日掲載)

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