政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会

更新日:2020年11月20日

居場所を共生の拠点に

 京都市は門川市長の肝入りで居場所づくりに取り組んでこられたが、全国市町村でもこれを追って「通いの場」という呼び方で居場所づくりが始まり、今では高齢者をはじめとする地域の人々の集う場が相当広がってきている。子ども食堂の普及ぶりもめざましい。

 地域の人々が絆を結び助け合う共生社会は、誰もが安心して暮らせるあたたかい社会で、経済競争の激化による格差社会に向かっている方向を、みんなで共生社会の方向に転換していかなければならない。居場所は、その切り札である。

 ところが、これに立ちはだかったのがコロナ禍である。全国多数の居場所が、閉鎖を余儀なくされた。

 しかし、人の心を閉ざすことはできない。

 熱い心を持つ居場所のリーダーたちは、電話でお話したり、手紙や回覧板などで気持ちを伝え合ったり、食事や食材を配って困りごとを聞いたり、自粛生活をしながら健康保持するのに必要な情報を伝えたりと、さまざまに工夫をこらしながら心のつながりをしっかり保持している。仲間同士のオンライン会議も広がってきた。

 ここにきて、コロナ禍に対するこの対抗手段が、従来の居場所の機能を大きく広げることが確認された。

 新しく開発されたいろいろな手法で自宅にこもっている人たちがつながれるということは、コロナ禍が治まっても、居場所に来られる人と身体の不自由などで来られない人々とがそれらの方法でつながれるということである。従来から居場所に来られなくなった人への対応が課題だったが、その課題がはからずも解消できることがわかったのである。

 それだけでなく、居場所は、居場所に来ない人々にもいろいろな情報を届けることができるとわかった。

 居場所は、ご近所同士の助け合いについても必要な情報を提供したりマッチングする役割が果たせると確認されたのである。

 コロナ禍を転じて居場所から助け合いの輪を広げていきたい。

(京都新聞「暖流」2020.11.16掲載)
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