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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2006年5月2日
公益法人改革法案の注意点
  去る3月10日、国会に公益法人制度改革に関する法案が提出された。
  公益法人の改革は、いずれNPOにも影響するところから、私たちは、民間の活力をより生かすという観点から、多くの提言を行ってきた。その視点からすれば、この法案は、トータルで30点程度の前進であるが、問題の多くは、今後の内閣府令の定め方と運用の仕方に委ねられているといえよう。
  私たちが注意すべき主な点をみておきたい。

一 行うことができる事業の範囲
  昨年12月に政府の行革事務局が公表した「新制度の概要」によると、公益法人は「営利事業と競合する性質を有する事業活動」を禁じられていたが、当財団は、意見書を出すなどしてこの制限に猛反対した。法律案でこの禁止がきれいになくなっているのは改善である。ただし、公益法人は公益事業を半分以上やる必要があり、公益性のない収益事業は、半分未満に止めなければならないとされた。
  問題の一は、計算方法である。「新制度の概要」は、「公益的事業に係る事業費が、原則として、全事業費及び管理費の合計額の半分以上」としていたので、財団は、前記意見書で、これではボランティアの活動が評価されないから、事業に注いだマンパワー(時間)で計算すべきだと主張した。法律案は、もとの計算方式を維持したが、事務局は、内閣府令で、ボランティアの活動時間を経費に換算して算入することを定めると説明している。その約束の履行を見守ると共に、管理費は、可能な限り、公益事業費と収益事業費に按分するよう主張する。
  問題の二は、介護保険事業が公益事業に入るかである。公益法人は、営利法人がやれない介護保険事業をやるのだから、公益事業に入ることを主張する。これは、解釈運用問題である。

二 行政庁の認定・監督の問題
  「新制度の概要」は、公益性の認定に当たり関係行政機関の意見を聴くとしていたが、これには猛反対の声が起きた。法律案は意見を聞く対象を、必要不可欠のものに限定したので、この点は評価できる。
  認定は第三者機関(有識者会議)の意見に基づくとしているが、この機関が民間の立場で有効に機能するかどうかは、運用の問題である。国会でも言質を取る必要があろう。

三 資産保持の関係など
  法律案によれば、公益法人の収益や遊休財産の保持に限度が定められている。しかし、公益事業拡大のための収益や資産保持は認められるべきである。法案の修正か、内閣府令に容認規定を設けるよう働きかけたい。

(『さぁ、言おう』2006年5月号)
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