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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2008年8月8日

東京砂漠の壁

  かねて、財務班の高野芳夫リーダーから、「われわれは全国に運動を展開しているのに、足元の東京が弱いんじゃないですか」と指摘され、気にしていた。
  そこへ、東京都から「東京の地域ケアを推進する会議を起ち上げ、3年かけて提言をまとめるので、座長を引き受けてくれないか」との話があった。行政の形を整えるためだけの審議会とか研究会には参加しないことにしているが、都は、「住民と協働する地域ケアの東京モデルをつくりたいが、正直、いい智恵がない」という。厚生労働省がこの春に打ち出した、「住民参加による新しい支え合い(共助)」 という考え方も取り入れたいらしい。いいことなので喜んでお引き受けし、さっそく東京モデルのイメージを共有することにした。
「東京のモデルとなる地域の特長は、人間関係の冷たさでしょう」。それがふれあいボランティア活動が根付かない原因だから、私は自信を持って、主張した。異論は、出ない。
「そういう地域で、要介護3以下くらいの一人暮らしの高齢者を、地域でどのように支えるか、まずそのあたりから、具体的方策を考えましょう」
  委員には、お母様の介護を終えた落合恵子さんのほか、医療、介護、ボランティアなど、例によって各分野のプロが揃ったが、課題も対象地域も大きすぎて、どうこなすか取り組みあぐねている感がある。無理もない、わが財団が十数年、仕掛けあぐねてきた課題である。
  しかし、いつまでも日本の中心部を空洞にしたままにしておくわけにはいかない。各地で、ふれあいの精神を持ったインフォーマルサービスが、介護保険のフォーマルサービスと連携して、尊厳を支える個別ケアに進み始めている。神奈川でも千葉でも、市民の動きは先進的である。
  この機会に、一気に東京砂漠の壁を突破しようと心を決めている。

(『さぁ、言おう』2008年8月号)

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