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更新日:2011年3月24日
認知症者の処遇
 24時間巡回サービスを導入することがほぼ固まってきている。このサービスの呼び名はまだ決まっていないが、要するに、介護が必要な時はいつでも訪問して介護するサービスのことである。 
 このサービスが認知症者には適用されないのではないかという誤解があるが、とんでもない。
 どんな支援が必要かを連絡できる認知症者はもちろんのこと、自分でその判断や連絡ができなくても、本人に代わって判断、連絡できる家族などの同居者がいる認知症者は、このサービスの対象となる。つまり、現在自宅で暮らせている認知症者のほとんどが対象になるのである。それによって家族がどれほど助かるか想像してほしい。
 このサービスの対象にするのが難しい一つのタイプは、自分で判断も連絡もできず、家族など自宅で世話をする人もいない認知症者である。
 もう一つのタイプは、徘徊癖などBPSD(周辺症状)があり、家族などがいない人である。
 前者(単身の判断能力完全喪失者)は、多くは施設か精神病院に入っているであろう。
 この点に関して最近、入院者が減少している精神病院を認知症者向けの施設にしてはという声が出ている。精神病院は認知症者の処遇に向いておらず、潜在能力を生かして本人らしい生活のできる施設が必要だという主張には賛成であるが、今の精神病院の建物をそのような施設に改造することが可能だろうか。また、多くの精神病院は地域と隔離された場所にあり、住み慣れた場所とはとてもいえないのではないか。そして、精神病院で働いてきた職員に、生活の継続性を重視し、潜在能力を生かす処遇が可能なのか、疑問が多い。適切な受け皿は、住み慣れた日常生活域におけるグループホームや地域密着の居宅であろう。
 後者(単身のBPSDのある者)は、BPSDは適切な対応がとられればほとんどの場合半年程度で改善されると聞くから、その間の特別処遇を考案することが必要である。徘徊癖などは家族がいても大変だから、BPSDのある者についての特別認定と特別処遇を介護保険制度に創設する必要がある。ただ、その処遇方法は、地域全体で取り組むことも必要となるから、まだ開発されていない。開発を急がなければならない。
(時事通信社「厚生福祉」2010年2月22日掲載)
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