政治・経済・社会
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提言 政治・経済・社会
更新日:2009年5月17日

小沢代表の対応と政権交代

 私は、小沢一郎さんが一刻も早く民主党代表を辞任し、若手や女性を含む数名の代表候補がそれぞれ創ろうとする日本のヴィジョンを掲げて訴え、国民の前で党員選挙を行って新しい民主党に生まれ変わることが、政権交代実現への近道であり、王道であると考える。
  私は確固たる無党派であるが、たとえどんなに優れた人材がいる政党であっても、10年から15年与党が続けば、政権交替することが望ましいと思っている。与党は必然的に公務員及び支持する利益団体と癒着し、その利益を偏重する体質に変容するからである。
  その立場からすれば、民主党は、小沢さんを党首に置き続けることにより、はじめて訪れた政権交代の絶好のチャンスを遠ざけつつあり、しかもその自覚がないことが、残念でならない。
  健全な国民がもっとも嫌うのは、腐敗した政治家である。なぜならそういう政治家は国民の利益を図る前に、特定の者の利益を図るおそれがあり、それは、政策、力量のいかんにかかわらず、政治権力を行使するための基本的要件を欠くからである。
  今回小沢さんの秘書が起訴された事件は、いろいろな見方があるが、小沢さんの具体的認識がなくても、西松建設から何年かにわたり、何千万円というお金が本人のために献金されていたのは紛れもない事実であり、また、西松建設の献金が、小沢さんの活動の地盤とする地域における大きな公共工事の受注を願っていたことも広く認識された事実である。そういうあやしいお金を貰ってはいけないという国民の強い意思に押されて、政治家は1999年にやっと会社等からの政治家個人に対する献金を禁止する政治資金規正法の規定を実施させた。
  政権交代を目指す政党は、率先し、一丸となって、公共工事を受注しているような会社からの献金を一切辞し、日時を惜しんで住民の声を聞き、政策を訴えて彼らの心をとらえる運動を展開し、政治を刷新すべきであった。
  小沢さんは、風頼みの気風もあった民主党を引き締め、地元の地盤固めに走らせたのはよいが、ご自身のやり方は、一般住民に根気強く政策を訴えるやり方ではなく、有力な利益団体の幹部に働きかけて組織を抱き込むという旧態依然たる運動であり、そのやり方の延長上に、西松建設からの献金があるのである。
  多くの国民は、そういうやり方でリードする小沢さんの政治手法を問題にしているのであって、秘書が受けた献金の法的責任を問うているのではない。だから民主党が、法的責任を論じて小沢さんをかばおうとすれば、国民は、論点をすり替えて古い政治手法を改めようとしない、国民の気持ちがわからない政党だと判断する。そして、後継者の選定が難しいとか、小沢さんを傷つけずにうまく辞任してもらうにはどうすればよいかなどと言ってもたついているのを見ると、党内事情だけを見て国民の望みがわからない政党だと、評価せざるを得ない。このようにして、民主党は、自らのチャンスを遠ざけている。
  今からでも遅くはない、自由に立候補できる代表選を行い、経済の重点をどこに置くか、そして世界の平和をどう実現するかという基本的方向について骨太な政策を国民の前で競い合えば、代表は、国民の声をくみ上げて党員が決めてくれる。そして、その政策が国民の心をとらえれば、今回の事件以前の段階よりももっと大きな勢いで、政権交代への流れができるであろう。それこそが、政権交代に命を賭けている小沢さんの望みを果たす最善の道であると考える。
  小沢さんには、古い手法の実態をもっともよく知る政治家として、最近主張し始めた会社等団体献金の全廃に向け、今後の政治生命を賭けてほしいと願っている。

 (電気新聞「ウェーブ」2009年4月27日掲載)

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