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定期連載 朝日中学生ウィークリー
更新日:2007年4月10日
人間の命と動物の命の価値
  あなたは、人間の生命と、ほかの動物、たとえば牛とか犬とか猫などの生命は、同じ価値だと思いますか、それともまったく違うと思いますか。
  自分たちは人間なのだから、人間が絶対で、ほかの動物は人間に役立つかどうかで値打ちを決めればよいという考え方があります。
 
  ●●宗教によって異なる考え方
  私は講演で、並んでお月さんを見ている猫が、隣の猫の肩に手を掛けていた話をして、「猫だって仲良くするんだから、人間同士、いがみ合うのはやめましょう」と言ったら、聞いていたキリスト教の牧師さんにひどくしかられました。高尚な人類をけものと同列に考えるのはとんでもないというわけです。
  同じ宗教でも、仏教の多くは、人の生命と動物の生命は同価値だと考えているようで、だから明治時代より前は、日本人は、動物の肉を日常的に食べる習慣はありませんでした。
  さて、どちらの感覚が正しいのでしょうか。
  人間の価値は絶対だと考えれば、人間が動物を殺して肉を食べるのは当たり前だし、動物の生命を守るのはそれがかわいいからであって、かわいくない動物や役に立たない動物は殺しても一向にかまわないということになります。イギリスの貴族が狩りの楽しみのために行うキツネ狩りが、その典型です。
  一方、人間もほかの動物も、神や仏の眼、あるいは大自然という大きい眼からみればその価値は同じだという感覚に立ってみましょう。そうすると、人間がほかの動物を殺してその肉を食べることは、人間の生存のためにやむをえないことだけれど、なるべくは殺さない方がよいということになります。人間は、ほかの生き物を食べないと生きていけませんが、それは必要最小限にしようという考え方です。
  また、ほかの動物や植物も、それぞれ生命を持って懸命に生きているのだから、意味もなくその生命を奪うのはやめようという考えにもなります。動植物の生命を含めた自然環境を、可能な限り大切にしていこうということです。
 
  ●●一度じっくりと考えてみよう
  どちらの考え方が正しいかはまだ答えは出ていませんが、私は、人類自身のためにも、ほかの動植物の生命や自然環境を大切にするほうがよいと思っています。
  宿題のない春休みの間に、一度じっくりと、生命について考えてみてはどうでしょうか。
(朝日中学生ウイークリー/2007年4月1日掲載)
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