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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2006年8月9日
ネットワーク調査への期待

  財団の目指すネットワーク

  さわやか福祉財団が目指す地域ネットワークの目的は、尊厳を支えるケアの実現である。
  人は、どんな状態になろうとも、最後まで人間らしく、自分らしく生きたいという基本的欲求を持っている。
  その欲求を満たすために、その時点で利用者が必要とするさまざまなサービスを提供する人々が、その利用者のためにネットワークを組んで、その人に最適なサービスを提供する。個々の利用者ごとに、個別のネットワークが組成されることにより、尊厳を支えるケアが実現する。特に、精神的交流を中核とするインフォーマルサービスを提供する家族、近隣の人、NPO(ふれあいボランティア団体)が、このネットワークにしっかり組み入れられていなければならない。
  個別のネットワークが必要に応じてスムーズに組成されるためには、さまざまな分野のサービス提供団体が、団体間ネットワークを組成していることが望ましい。たとえば、地元の医師会、看護師会、介護サービス提供者、デイケア提供者その他の施設業者、福祉NPO、配食事業者、移送事業者、ふれあいボランティア関係者、民生委員その他のサービス提供者が、まずそれぞれの分野で協議会などのネットワークをつくり、さらに各分野の代表者で全体の協議会(ネットワーク)をつくる。市区町村の担当部局の職員が、このネットワークを支援する。
  そして、個々の利用者のケアマネジャー、家族、ボランティアなどから直接あるいは地域包括支援センターなどを通じて寄せられる、個別のケアネット組成の必要性に関する情報に応じて、団体間ネットワークが動き、利用者のニーズに応じる個別ネットが組成される。これが一般的な仕組みであるが、もちろん、団体間ネットが動かずに、個別ケアネットが組成される仕組みがあってもよい。要は、地域の実情による。
  財団の目指すネットワークの一般的仕組みを図にすると、別図のようになる。

望ましいネットワークの形成

  わが財団の各ブロックは、まずモデル地区を選んで、包括的なネットワークの形成を働きかける事業を展開する。
  ネットワークの形成を行政任せや、人任せにすると、まず例外なく、ふれあいボランティアなど、インフォーマルサービスがネットワークの輪に入れず、それではトータルな人の思いをかなえる、尊厳を支えるケアが実現しないからである。
  包括的なネットワークを各地域で実現するためには、まず、各地で現在あるサービスとそのネットワークの実情を調査する必要がある。そして、その調査自体が、望ましいネットワークを形成させる大きな力を持つ。
  なぜかというと、ネットワークの現状を調査し、それをあるべきネットワークと比べると、その地域の包括的なネットワークの問題点が明らかになるからである。たとえば、@どんなサービスが足りないか、A個別のネットワークができているか、B団体間のネットワークができているかなどについての問題点である。
  調査の結果、ブロックのインストラクターは、その問題点が生じている原因(市長がインフォーマルサービスを認めない、とか、医師会の理解がないなど)を指摘し、どうすればその問題を解決できるかの戦略を提言することとなる。
  これを公表することによって、その地区の心ある人々が動き出し、自ら問題を克服してあるべきネットワークの実現を目指す活動を始めることが十分期待できる。地域には、その地域の住民の幸せのために労を惜しまない人が、しばしば現れるからである。つまり、調査自体が望ましいネットワークを組成する力を持っているのである。
  インストラクターによる正しい調査と提言が、年を追って各地に成果を生み出すかと思うと、ワクワクする思いである。

(『さぁ、言おう』2006年8月号)
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