政治・経済・社会
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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2007年1月9日

傍観しないで、参加しよう

  日本人の知的レベルは、きわめて高いと思う。新憲法ができてから今日までに行われた数々の選挙で、国民が示した判断は常に正しかった。
  問題は、参加しないことである。
  自分の主張を通してくれそうな政治家がいても、その人のために寄付したり、選挙運動をすることは、まずない。それどころか、投票さえしない人も少なくない。
  かといって、自分の主張を実現するために市民運動をしたり、地域活動に参加する人もまだまだ少ない。
  さらに悲しいことには、自分がどういう社会にしてほしいかを考えることもなく、ただなりゆきまかせの人たちが、結構いることである。特に、日本の未来を担う若者たちに多いことが、恐ろしい。
  平和が脅かされるのではないかと不安を覚えるなら、なぜ平和を守ろうという声を上げないのだろう。
  もっと温かい人間関係が欲しいと感じるなら、なぜ近所の人に挨拶しないのだろう。
  いじめがよくないと思うなら、なぜ近所の子どもたちに「やぁ、頑張ってるかい」と声を掛けないのだろう。

  政治であろうと、地域の環境づくりであろうと、自分の生活の構築であろうと、人にやってもらうという意識では、不満が募るばかりである。人は、自分の思うようには、やってくれない。たとえ親であろうと、配偶者であろうと、そうである。人が思うようにやってくれないことに不満を募らせていても、何も解決しないどころか、自分がより不幸になるばかりである。
  やってほしいことを実現するために自分が参加すれば、不満を言っているいとまがなくなる。それが政治の課題であろうと、地域社会の課題であろうと、自分個人の願望であろうと、自分で智恵をしぼり、作戦を立て、仲間をつくり、関係者に働きかけ、援護し、自ら汗を流して実績を上げていかなければ、ことは成就しない。
  それは、辛い挑戦ではあるが、心はいきいきとしている。挑戦自体に、爽快感がある。成就した時の達成感、充実感は、いうまでもない。「生きていてよかった」と心から実感できることは、この世で得られる最高の幸せである。

  憲法ができて60年、なお個人主義の価値観が根付かない日本社会は、個々の思いを追う活動を極端に抑制する”世間”がはびこる社会であるが、それでも、自分の思いでボランティア活動をする私たちの仲間は、着実に増えている。自分らしく生きたいと、世間と葛藤する若者も、そこここに見かけるようになってきた。

  自分の夢をしっかりと持ち、行動を起こして社会に積極的に参加する。その挑戦が、自分と社会を充実させ、幸せをもたらすという原点を、いま一度、確認しておきたい。

(『さぁ、言おう』2007年1月号)
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 [日付は更新日]
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2006年11月9日 地域づくりに有益なネットワーク調査
2006年10月5日 助け合いの移送の自由を守ろう(その2)
2006年9月6日 助け合いの移送の自由を守ろう(その1)
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