政治・経済・社会
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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2008年12月10日

経済の後退への対応

  株を持たない私には、春のガソリン高騰のほうがこたえたが、資産が日々に目減りした方は、腹立たしくも不安な毎日であろう。
  製造業や販売業の方は、世界規模の景気後退の影響を被り、辛い思いを耐えておられるのであろうが、介護や教育、医療など、人に直接サービスする事業は、自己負担額の節約の動きはあるものの、モノの製造・販売を行う事業者ほどの直接的影響は受けていないと思われる。こわいのは、不況が続いて税収が減り、それが社会保障費や教育費の節減になって、人的サービスが削られることである。
  そういう事態を極力避けるには、政府は何をすべきであり、われわれは何をすべきか。 政府は、定額給付金などバラマキ色の濃い短期政策を総選挙目当てに打ち出しているが、こういうカンフル注射はかえって体力を失わせるだけである。
  政府が直ちになすべきことは、中・長期の繁栄を見通して、世界に対し、リスクを隠した金融の禁止、エネルギーや食糧に対する投資(育成目的の投資を除く)の禁止とそれらの適正配分の仕組みの確立などを訴え、粘り強く実現に取り組むこと、アジア全体の生活水準の向上を目指し、各国が経済面で協力し合う体制を確立し、その中で日本の経済的成長も確保すること、国内的には、当面の緊急事態の中で、人の生活水準の確保を道路その他のモノの確保に絶対的に優先させるという政策を明確に打ち出し、その方針の下、人にサービスする事業を全国規模で充実し、これによって雇用を広げ、また、地方経済を支えることではなかろうか。弱者切り捨てによって経営を維持しても、それは活力を生まず、やがて日本全体の経済力の下降を招くであろう。ひどい状態になるほど、“まず人が先き”の政策を取らなければならない。
  一方、私たちも頑張らなければならない。高齢者を念頭に置いて言えば、社会貢献活動ができる人はさまざまな面でその能力を生かし、お金の力によらないで少しでも住みよく、楽しい社会にしていきたい。
  また、景気について言えば、ある程度の資産を持つ高齢者は少なくない。日本の経済力の維持、回復の最後の頼みは、個人が貯めている1500兆円(ある程度、目減りしているであろうが)の金融資産である。これが市場で活用されれば、国内経済は水を得て生き返り、生活が向上するであろう。
  環境のための節約はしっかり行いながら、心身の健康や快適さのために、いろいろな人的サービスを受けることに、もっとお金を使ってよいのではなかろうか。遺産を残すことを考えず、自分のためにお金を使うことを考えたいと思う。

(『さぁ、言おう』2008年12月号)

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 [日付は更新日]
2008年11月10日 日本を変えよう
2008年10月8日 有効な政策提言
2008年9月10日 多様な能力を生かせる就業
2008年8月8日 東京砂漠の壁
2008年7月9日 これ以上社会保障費を抑えるな
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