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定期連載 挑戦−幸福づくり
更新日:2009年3月9日

いきいきと存続する組織

 新公益法人になるべく中央省庁と折衝していると、つくづく、日本のお役所は動脈硬化を起こしているなと思う。
  まことにどうでもいい些事にこだわり、無益なことに時間とエネルギーを浪費する。先例にこだわり、何が正しいかを判断せず、現実を見ず、国民の声を聴かない。責任を逃れることを第一に考え、人のせいにする。
  もちろん、そうでない、国民の方を向いた役人もいるが、自己保身だけを考える役人が許認可権を握るポストに就き、国民、市民の活動を抑圧している実態を思うと、そういう役人は、社会にとって無益なだけでなく、有害であるというほかない。彼らに国民の方を向いてもらうための努力は、今後も続けていかなければならないが、ここでは、役人病が私たちの組織に感染していないかを検証しておきたい。
  そういう視点から見ると、私たちの世界にも、まず責任を逃れることを第一に考える人は、存在する。どうやら自己弁護は人の本性らしいから、病気とはいえないが、状況がまったく見えず、自己弁護に徹するばかりとなると、社会不適応症といってよいだろう。新しいことを始めようとすると、もっともらしい理屈をいって、必ず反対する人も、危ない。そういう人たちは、「学校では教師のいうことをうのみにしていい成績を取ったが、クラブ活動にはのめり込まなかったのだろうな」と推測されるような人たちである。
  こういう症状は、伝染しやすいから、組織活性化の敵である。
  では、どうすればこの症状を妨げるか。
  そのために、この症状の原因を考えると、「志がない」ことに行き着く。お役人でいえば、国民の幸せを実現しようという志がない。あるのは、自分の出世と組織の温存、拡大だけである。ものごとを判断する時の基準がすべてそれであるから、冒頭に述べたような態度になるのである。公務員には、憲法の精神を身に付けてもらうしかない。同様に、私たちの組織では、組織のミッションを判断基準にする思考方法を習得することである。たとえば、さわやか福祉財団でいえば、「そのことは、新しいふれあい社会の創造にプラスか否か」という判断基準である。
 「こんなことをしても、私たちのミッション達成には無益だよ」とか、「こんな考え方じゃプラスにならないな」と感じたら、さっさと引っ込めるか、やめるのがよい。逆に「ウーン、かなりしんどそうだし、リスクもあるけど、ミッション達成のため挑戦する価値はあるな」と感じれば、前向きに検討すればよい。
  そういう思考の人たちが集まり、智恵を出し合っていれば、組織はいきいきと存続していくであろう。

(『さぁ、言おう』2009年3月号)

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